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2009/11/25

孤独のメッセージ ~その9

 ささやかな幸せを願っているだけなのに、幼いころから独りぼっちで、適齢期にも寂しさを味わったお軽。結婚で、一旦は癒やされたかに見えたが、今度は夫の不義によってより苦しむ。一心に尽くした夫に疎まれる悲しさは、身をよじるほどであったに違いない。
 しかも島の者は皆、幸七を弁護し、聞こえるのは自分への冷笑ばかり。

「だれも私を分かってくれない」
 孤独な人生の救いを求め、お軽は生まれて初めて仏門を叩く。寺の住職・現道(げんどう)に事情を明かし教えを請うたのだった。
「あんたのためには、かえってよかった。こんなことでもなければ、仏法を聞くような女でないからな、そなたは」
 歯に衣着せぬ現道の一言に怒ったお軽は、そのまま家に帰ってしまったが、それでも聞かずにおれなかった。真剣な聞法を重ね、やがて仏法喜ぶ身となった。あふれる法悦をお軽は、多くの歌にして残している。

阿弥陀如来を 殿御(とのご)に持てば
 娑婆の貧乏 苦にならぬ


〝私一人の弥陀如来、魂の連れを得てごらん、この世の苦労は苦にならぬ〟
 変わり果てたお軽に驚き、やがて幸七も、ともに仏縁を喜んだという。

 後日、幸七、お軽夫妻と現道の間の、こんな会話が伝えられています。お軽が、
「この人が道楽をしたのは私には幸せでした。それがご縁で、こうしてお慈悲さま(弥陀の救い)にあわせていただけたのですから。この人は私には善知識(仏法の先生)です」
と言うと、幸七が、
「それを言われるとオレはつらい。でもお前こそ、お慈悲にあわせてくれた善知識だよ」。
「二人とも、こうして真剣に仏法を聞いているからこそ、私も仏縁にあわせてもらえる。二人こそ私の善知識だ」
 最後に現道はこう言い、ともに喜び合ったといいます。

 底知れぬほど寂しいところが人生。
 それが信心決定すれば、無限に楽しい人生となるのです。



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